天野祐吉さんの「ぜいたくな時間に出会う」

天野祐吉さんAll Rights Reserved.

愛媛松山のお土産にと、紫鳶色の箱に入ったお饅頭をもらった。

箱を開けると梅の紋が中央に印刷された小誌が入っていて、開いてみると、昨年、亡くなった天野さんの署名入りで原稿用紙、一枚半分ぐらいのエッセーが書かれていた。

「ぜいたくな時間に出会う」天野祐吉
まんじゅうは、ひとくちで食べて小さな形(なり)をしていたが、その小さな形(なり)の中には、家並みと同じようにたっぷり時間がつまっていて、口に入れてそっと噛むと、その時間が口の中いっぱいに、ゆったりとひろがっていく….

天野さんは中学、高校を松山で過ごしたそうで、文中の家並みと…は、天野さんが松山で過ごした思いを、この小さなまんじゅういっぱいに詰まっている餡子になぞえたのかもしれない。

目尻をいっぱいにたらしてまんじゅうを頬張る天野さんを思い出しながら、ぼくも頬張った。