MARCH 2009 WINTERREISE 2

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久し振りの一人旅であった。
 
大昔の友人の所に遊びに行くので厳密に言えば
「一人旅」とは言えないだろう。
 
2年前の夏に突然、彼がこちらまで足を運んでくれて
蕎麦とか鴨焼きとか吟醸酒とか健康ランドをオカズに
しながら「大笑い」したのだった。
 
その時以来
 
「あの当時に比べれば
円も高くなってるからさ・・・」
と、誘惑されていたのである。
 
「誘惑」にはすこぶる僕は弱い。
僕は勿論その誘惑に乗っかりたかったし20年以上前に
ヘラヘラとフラフラと歩いた異国の街を再び訪れたかったのだ。
 
しかし実現は無理だろうなと、思っていた。
でも去年の10月に「20世紀少年・第一章」を観たら
僕の中のある部分が頭をもたげた。
 
「行こうかな?」
 
と漠然と思ってしまったのだ。
あまり良くはない、兆候だ。
しかし、こういう兆候があるからこそ
僕は日々を過ごす事が出来るのだろう。
 
今年に入り戸籍謄本を取り寄せ新たにパスポートを申請し
NESTAをネットで申請した。
近所の旅行代理店4,5件程回り
「エアー・オンリーの格安チケットを」
と、20回位言った。
 
「円」をTCと$のキャッシュに郵便局で換金した。
郵便局で換金出来る事自体も驚いたが
今回は1ドル100円を切っていた。
 
大昔の時はよくは覚えていないのだが190円前後だった筈である。
後は国内では僕が全く使わないカードが頼りである。
あちらの方ではカードが一番便利であり、
面倒が少ないとの事であるのだ。
 
これはどうやらツーリストに限らない様だ。
それから携帯も現地で使えるようにNRTで出発当日に
受け取れるように手配をした。
 
「旅」の準備・手続きはかなり面倒くさいがそれなりに楽しい。
知らず知らずの間に旅モードの気持ちが出来上がって行くのだ。
些細な事で「時代」を感じてしまう「おとっつぁん」の僕である。
 
当然ながらシートのクラスはファーストだ。
と、言うのは願望だけの大でエコノミー・クラスである。
機内に搭乗するタイミングも最後だった。
 
13,4時間のフライトなので僕は「じぃーっと」は、していられない。
他の乗客の皆様はお行儀良くしていた。
LAVATORYにかこつけ機内の後ろの方で窓の外を見つめた。

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この時にある女性のCAが僕の退屈に付き合ってくれた。
少しのあいだお話しをした。
充分に綺麗で聡明な方だった。
 
彼女は北米大陸の西海岸と東海岸の直行便が多かったのだが
次回の編成からはパリの方の便のお仕事が増えるとの事だった。
「パリかぁー。良いじゃん。俺は行った事ないけど・・・」
と、子供の様な事を僕が言うと彼女は
「私はアメリカの方が好きなんです」と言った。
この「好きなんです」は難しい。
「仕事その物の場所として」なのか「お国柄」なのか
はたまた「アメリカに現在の親しい人がいる」とか
「パリには以前に面白くない記憶がある」とか、である。
 
僕はその事に少し興味が在ったのだけれども
話題を変えた。
僕がストレッチとかをしながらエコノミー・クラスの機内を眺めながら
「みーんなよく、じぃーっとしてられるよね。偉いよね」
と言うと、彼女は返答に困っていた様だった。

僕はマズイ事を振っちゃったなと、少し遅れて思った。
そうだよな、ここで「相槌」なんて打てないよな。
と、思った。
反省を込めて僕は
「そりゃあーさぁー、僕が出すモン出せば問題ないんだろうけどさっ」
と少しスネタ事を言うと彼女は吹き出した。
こういう小さな出来事が「旅行」の密度を濃くしてくれる様な気がした。