MARCH 2009 WINTERREISE

All Rights Reserved.

スキーをやった。
22、3年振りの事で大昔からの友人のはからいであった。
「今度の日曜日はスキーでもしない?」
と提案してくれたのだ。
「こっちに来てこういう企画も有りだろう?」
とニコニコしながら言っていた。
あちらに行ってから4日目の事だった。
彼の家族はシーズンに3,4回程出掛けているらしく
彼も子供達も奥様も余裕の面持ちで
「大丈夫なの?滑れるの?」視線が僕に集中していた。
僕は「大丈夫だと思うよ」と友人に言ってはいたが
アニメの「ちびまるこちゃん」のキャラクターの様に
薄い細い縦線が僕の顔に出てないかな・・・
と、実は心配であった。
友人の彼にその縦線が見えたかどうかは解らないが
「あんまり無理しないで良いからさ。冬山の雪景色を
見るだけでも気分が良いんじゃない?」
などと、まとめた大人っぽい事を言いながら
アンダーやらジャッケットとかグローブとか
厚手の靴下を用意してくれた。

All Rights Reserved.

この様な言い回しをガキンチョの頃から知っている奴に
言われると複雑な感じがする。
大昔であれば
「骨なんて折るなよな」とか
「ボディで滑るなよ」とか
「お前は何時もギャグで滑ってっから問題無ぇーだろっ」とか
言っていた筈だ。
それに対して僕も
「俺の滑りはギャラリーを釘付けにする筈だ」とか
「この新雪は俺のモンだぁー」とか
「この足元の純白の雪は俺の心の色だ」とか
言っていれば良かったのだ。
全ての「会話」はそんな感じで流れていたのだった。
お互いに歳月は過ぎているのだ。

All Rights Reserved.
All Rights Reserved.

充分に屈伸とか柔軟をしてから「バキッ」と板に足を嵌めた。
最初の一本ははっきり言って
「へろへろのへなちょこのへっぴり腰」であった。
2、本3本と滑るあいだにダンダンと体が反応して来た。
なかなかかなり気分に良い瞬間だ。
この日は嘘みたいなあり得ない程の晴天で
うっすらと汗をかいた程だった。

041009_2342_MARCH2009WI5All Rights Reserved.

「ブラックの方に行こうよ」
と、下の男の子に誘われた。
こちらではコースの難易度が色で分けられていた。
彼なりの判断で「大丈夫だろう」と思ったのだろうか?
グリーン、ブルー、ブラックと斜面の角度がキツクなって行くのである。
下の男の子はブラックのコブを攻めたくてウズウズしている様だった。
こういう瞬間の小さい男の子の表情は素晴らしいのである。
僕は「ヤバイかな?」とも思ったけれども彼が僕の視界から
「フッ」と消えた時に
「行くしかないよな」と思って両手のストックを雪面に深く刺した。
コブの谷間で僕が横になっていた時に視線の先で
彼はガシガシとコブを攻めていた。
この後に屋外のテーブルで頂いた
サミュエル・アダムスのドラフトの
抜群の美味さ忘れられない。