秋刀魚の肩透かし

今秋は、秋刀魚をお刺身で頂く機会が多かった。

捌き方を伝授させて頂きスーパーに行き

自分でも見よう見まねでお造りにもした。

食べて貰いたいし、自分でも食べたいからだ。

僕が25,6歳の頃に北海道出身の知人に

「秋刀魚の刺身を食わせたいよ」

と、言われた。

平成元年の頃の事だ。

「えっ?サンマって刺身で食えんの?」

と、僕は、言ったと思う。

秋刀魚の握りも当たり前の様に、現在、有る。

ずーっと前からあったかの様に。

時は過ぎている。

幼い頃からさんまは好きだ。

だいたい、まんまの塩焼きが多かった。

それから腹開きにされた干物だ。

夏の終わりから食卓に並び仲秋、晩秋、初冬と

ワンシーズンで10回位は毎年食べているだろう。

何時頃から秋刀魚の肝を苦く感じなくなったのだろう?

ちっちゃい頃はお皿の隅にパーフェクトに追いやっていた。

それが少しずつ頂ける様になって行ったのである。

現在でも食べない時は食べない。

気分だ。

でも、ちっちゃい頃に比べたらそんなには

邪険な扱いをしては、いないと思う。

旬のど真ん中の秋刀魚の油は凄い。

油が落ちて煙をもうもうと立てる。

部屋の中は翌日でも匂いが残っている。

出番の厚手のカーテンにそれが染み込んでしまうのだろう。

熱燗をちびりちびりやりながら食していて

「あれっ?少しぱさついて来たな」

と、思う瞬間がある。

冬が始まる。