SUMMER VACATION

何十年振りかに「テニス・ラケット」を握った。

All Rights Reserved.

夕闇の中、消えそうになるボールを

追いかけるなんてのは、一体何百年前の事だったのだろう?

僕はテニスのルールも知らないし

いにしえに「ラケットを握った」と言っても

ほんのお遊びで地方の温泉宿でする

ピンポンの延長辺りの感覚だった。

コートのラインの意味すら解らない。

「ラケットの握り方」だってデタラメだと思う。

「ところがどっこい」である。

今回、面白かったのだ。

僕のお相手は小学校4年生の女の子だった。

彼女は、綺麗に日焼けしていて髪はショートだ。

ブルーのキャップが超・お似合いだった。

当然ながら可愛い。

多分、同じクラスの男の子の視線を

釘付けにしているだろう。

2年程前から「テニス・スクール」に通って

いるそうである。

自分の身長の半分位のラケットを重たそうに

振ってはいたのだが、僕よりずっとシャ―プに

黄色い「DUNLOP」のボールを捕らえていた。

僕が「ビギナー」という事を7秒程で理解した様で

とても返し易いボールを打ってくれていた。

僕が「ぜぇーはぁー・ぜぇーはぁー」しているのを

鋭く察知され

「まだ、まだぁー」

などと、気合いを入れられた。

「オジサン、ファイト」

とも、言われ

「俺はオジサンだけど、どうせ言うんだったら

「おとっつぁん」の方がしっくりするんだけどな」

などと、意味不明の独り言を呟き、汗を拭い、自分がネットに

引っ掛けてしまったボールを拾った。

20分程相手して貰って僕だけが「大汗」を掻いていた。

彼女には中学2年生のお兄ちゃんがいる。

彼もテニスをやり始めてから3年程だそうである。

僕たちのプレーを鋭い眼差しで見つめていた。

彼とボールを行き来させる時間はこれこそ

「まだまだ」だと思う。

彼もスリムでなかなかカッコ良いのだ。

彼と彼女は知人の子ども達である。

先日、偶然、街角で会い、

「今度、テニスをやろうよ。
家の子供もやってるから」

と、お誘いを頂いていたのだった。

彼女に「また、来る?」

と、言われた時は「おとっつぁん」は凄く嬉しかった。

「夏休み」はこれからだ。