A SCENE FROM THE NEIGHBORHOOD 8

雨が降っている。

All Rights Reserved.

11歳の時に市から賞状を頂いた。

後にも先にも僕が頂いた賞状はこれだけである。

担任の先生に「呼び出し」をくらった時は

事情が全く解らなかったので

「やべぇ。俺、何かやっちゃったのかな?」

と、小心者の僕は【ビビッて】いた。

事は実は簡単でこの賞状に関する話しだったのである。

言うまでも無い事ではあるが

「勉強」とか

「スポーツ」とか

「品行方正」

などとは全く関係なくて

「虫歯の無い子コンクール」という市の

「まつり事」の我が小学校の代表に選ばれていたのだ。

All Rights Reserved.
All Rights Reserved.
All Rights Reserved.

幼い頃、歯医者に行く為にとぼとぼと

歩いていた時は何時でも雨が降っていた様に思う。

調度、今時分である。

歯医者へは自ら進んでニコニコしながら

スキップなどをしながら・・・は、行かない。

幼稚園や小学校からの通知で母に強制的に

連行されて行っていたのである。

雨の中、紫陽花だけが機嫌の悪い僕と

その為に憂慮な面持ちをしょわされていた母とは

関係なく、水を気持ちよさそうに浴びていた。

All Rights Reserved.

あの賞状は僕への表彰ではなく、母への為の感謝状だったのである。