山のあなた・徳市の恋

ジャニス・イアンが歌う曲を始めて聞いたのは
「17歳の頃」というタイトルだった。
随分と随分と以前の事で従姉妹のお姉さんに
プレゼントされた物だったと思う。
ドーナツ盤で45回転使用のEPレコードだ。
70年代の真ん中辺りの頃だったと思う。

僕が小学校の高学年で
Dairy Queenというファースト・フードの
高校生位のお姉さんのアメリカンなユニフォーム姿に
胸をときめかされていた頃の事だ。
どの様な成り行きで僕にプレゼント
してくれたのかは覚えてはいない。
大人の女の人はこんな曲を聴くのか?と、思った。
僕はしっかりとガキンチョだったので
お気に入りになったのは暫くしてからだった様な気がする。

山のあなた 徳市の恋 スタンダード・エディション [DVD]All Rights Reserved.

草薙剛・加瀬亮・マイコ共演、石井克人監督・編集作品である。
清水宏監督の原作・脚本の「按摩と女(昭和13年・1938年)」という
作品の完全カヴァーであるそうだ。
僕にとってのこれからの「お釣り」は、計り知れないし
好きな作品である事は確かだ。

ジャニス・イアンの歌う曲で「17歳の頃」の次に僕に届いた作品は
「Love is Blind」
で「恋に恋をしている頃」だったと思う。
劇中の徳市は視覚を失っている盲人だ。
その故なのかは不明なのだけれども
その他の味覚・聴覚・触覚・嗅覚が凄いのだ。

この感覚が天性の物なのか
訓練の賜物なのかは僕には解らない。
徳市が自分自身とその日々の暮らしを支えている物
として信じて疑わない物であると、思う。
このとてもとても大切な鋭い感覚をも
狂わせてしまう「恋」という厄介な物は・・・。

盲目の主人公を更に盲目にさせてしまう設定に
驚嘆するが同時に酷な様な印象を僕は持ってしまった。
余計なお世話だろう。多分・・・。
しかし、「恋」はその様な物であり
天災の様に突然、やって来る。
悪魔と天使が共謀して甘味と酸味と苦味を
パーフェクトにブレンドして天国と地獄へと
誘う為の妙薬だ。

僕にとって「こいつ」が必要かそうではないかは
僕が108回の二乗でも三乗でも
生まれ変わっても知りたくは無いし理解できる物でもない。
やれやれ、全くこの作品は僕を
必要以上にオシャベリにさせている。
このオシャベリは僕が間違いなく「おとっつぁん」で
ある事の証明で証拠である。

「彼女、超、可愛い!!」

で本当に事は全て足りているのだ。