フィクサー

ジョ-ジ・クルーニー主演トニー・ギルロイ脚本・監督のアメリカ映画である。

07年度の各賞の様々な部門でのノミネートと受賞は頷ける作品だ。

トニー・ギルロイ監督は「ジェイソン・ボーン」シリーズ3部作の脚本家で

今回が初監督作品であるそうだ。

「おめでとう」である。

ジョージ・クルーニーもやっぱり御見事で、裁判という合法のシステムの

水面下に身を置いている感じがとても伝わって来た。

ブラックのスーツを倦怠からか少し崩れた様な感じで身に纏っていた姿は

これはこれで華美である。

「己を知れ」とか「鏡を見ろ」とか「すっこんでろ」いう声と供に

「石」や「爆竹」や「灰皿」が飛んで来るのを承知の上で

覚悟してでも僕は真似したいと思った。

まさしく愚行である。

やっぱり止めて置いた方が良いだろう。

でも、マイケル・クライトンが法曹界にデビューした頃はもう少し

色目の軽いスーツで隙無く身を包んでいたのでは?と勝手ながらに僕は思う。

男性の多い職場で自分の生活を自分一人で支えている女性を僕は知らない。

もう少し外郭を狭めたとして一般社会に於いて学歴もキャリアもあり、有能で、

ましてや現在、家庭で独り日々を過ごしている40代位の女性の気持ちなどは

僕には全く想像が出来ない。

それでもティルダ・ウィンストン演ずるカレンに掛かる仕事に関する様々な

重圧は計り知れないのでは?と思う。

その為かどうだかは自分でも分からないのだが・・・。

カレンが髪を洗いアンダーウェアで,その日の防御や攻撃の為と彼女の嗜好の合うお洋服を選び

メイクを整えながらスピーチをくり返しくり返し練習している姿を僕は好きだ。

「40代位の女性の出勤前の朝の身支度を整える姿フェチ」

とは違うと僕は断言する。

そしてアーサーを演じていたトム・ウィルキンソンである。

僕にとっては「物凄い」以外に言葉は無い。

このキャラクターを造形したトニー・ギルロイ監督にも唸るが

兎にも角にも「やって頂きました」であるのだ。

冷蔵庫に用意されていたモエ・エ・シャンドン社製の三鞭酒と

二つのフルートグラスはとても悲しい。