SAYURI

SAYURI プレミアム・エディション [DVD]All Rights Reserved.

僕はこの作品は好きである。「シカゴ」(02)のロブ・マーシャル監督の第2作目の作品である。ディテイルの部分で色々と回りで言われている事はその通りかもしれない。でも僕はその事が解らないのだから放って置く。チャン・イィーもミシェル・ヨーもコン・リーも大好きなので全くもって仕方が無い事なのである。勿論桃井かおりさんは小学生の頃からのファンである。その当時家族の目を盗み美味しいとも全く感じられなかった「カティ・サーク」を彼女のポスターの前でオン・ザ・ロックで飲み母に「顔が赤いわよ。熱でも有るんじゃないの?」と言われ「そうみたい」と言ってメチャメチャにお腹が空いていたのに関わらず「もう寝るよ」と言い何とかその場をしのぎ、晩御飯も食べずに寝てしまった事があった。あの時の空腹感は鮮明に覚えている。罪な女優さんである。

いよいよ2005年も残り2週間程となってしまった。何かと忙しく感じる今日この頃である。クリスマス・大晦日・お正月・・・イベントは目白押しである。ここ数日凄く寒い。実家の富山県の高岡市の方も例年よりも雪が早いと母が言っていた。鰤もきっと良い物が上がっているんだろう。11月の終わりごろから年の始め頃に北陸地方では雷が鳴るそうである。これをあちらの方ではブリ起こしと言うそうだ。どうやら鰤の取れる季節のバックグラウンドサウンドである様なのだ。こちらの関東の方では雷と言えば夏の夕立の事であろう。夏の夕立の後の雨の上がった夕暮れの風景を僕は好きである。

風に千切られた積乱雲が、緋色から茜色に染め上げられて行くのを眺めているのは気持ちが良い物だ。北陸の方々は雷の音で冬の到来を感じ、長い冬の準備を始めるのだろう。一度しか行ってはいないのだけれども金沢の近江町市場も今頃はさぞ忙しく活気が有るんだろうな。悪友を掻き集め「北陸の魚を食い倒そう」ツァーをいつか企画したいもんだ。

もう、7,8年前の話ではあるが高岡駅の近くの居酒屋で父と飲んだ。年が明けて間もなく、普段よりは魚介類のネタが少なかったらしく「御免なさいね」とお店のお姉さんは言っていた。市場の方が休みだったのだろう。しかしながら僕も父も大満足だった。立山の熱燗をちびりちびりやりながら白えびの掻き揚げや鰤の刺身を日本酒のたっぷり染みた舌の上に乗せた。この時の僕の一番は自分が頼んだ白子ポン酢であった。店内も暖かくほどほどにアルコールが回っていた身体にとてもとてもシャープで切れのあるさっぱりとした物であった。本当に新鮮な物だったのだろう。「これ、美味しいよ」と父に言うのに暫く時間が掛かった。

大袈裟では有るのだがこれは喋る必要がないのでは?と、思ったのだ。その間に父も箸を伸ばし口に運んだ。ゆっくりと噛み締め味わっている様であった。暫くしてから「これ、美味しいよね」と僕が言うと父は黙って頷いた。全く普段から饒舌な父とは一瞬違った。その時僕は父の長い説教が始まりそうな時は飛び切り旨い物をさりげなく皿に並べ熱燗を付けてからにするという作戦を思い付いた。

お店を出ると大粒のボタン雪が降ってくると言うよりも風も無いのに踊る様に舞っていた。雪が降っている夜はとても静かな様な気が以前からしていた。普段聴こえる遠くの電車の音や車のクラクション、パトカーや救急車のサイレンなどがあまり聴こえなかった様に思うのだ。先日ある本を読んでいたらどうやら雪が音を吸収して静かであると記されていた。 雪の舞う中、父と僕はたらたらと歩いて家に帰った。何か色々と話しながら帰ったのだけれども一体どんな話題だったのか今は覚えていない。特に大よっぱらいしていたわけでもなかったはずである。

さゆりの生まれた小さな村は根拠のかけらもないのだが何となく祖母の実家からさほど遠くない海沿いの辺りなのではと思った。白子ポン酢の美味しさのおかげで思いついた名案も結局は実行せずに父は数年前に他界してしまった。父が生きていたら多分この作品は劇場に足を運んだと思う。好きだという所では一致するとは思うが「どの辺りで」という所では全く持ってお互いが何を話しているのか解らない状態で2時間くらいは白熱しそうである。これはこれで「盛り上がっている」とか「話が合ったんだね」とか回りの人々が解釈しても差し支えが無いと最近思える様になった僕がいる。遅すぎるとは思わない。

明日はブリ大根でも煮込んでみますかね・・・。