南へ …台北のスイカ

南へ ...台北のスイカAll Rights Reserved.

南の島でよくスイカを食べた。
そのスイカはまん丸ではなく、横長な形をしていた 。

ホテルは雑踏とクラクションに包まれた市内の中心部にあった。
日本を発ってから半日以上が過ぎていたが
疲れはなく明日からの撮影に胸が躍っていた。

シャワーを浴びようとしたその時、部屋のチャイムが鳴った。
ドアスコープを覗くとジャッキー似の従業員がドアスコープを
笑顔で覗き返しウインクしている。ドアを開けるとジャッキーは
溢れんばかりのスイカが載ったステンレスのトレイを
両手で持ちながら「ウエルカム・フルーツを持ってきた」と
告げると部屋の中心に配置してあるテーブルへ置き、
後ろ手にあごを突き出しながら食べろ食べろと笑顔で言う。
一連の有無を言わさないサービスに困惑しながら食べたスイカは
甘くなく、ジューシーで喉の渇きを感じていた僕は
トレイに載った半分ぐらいのスイカをジャッキーの
笑顔に見守れながら一気に食べた。
唸りをあげながら残っているスイカを見つめるていると
ジャッキーは会釈をし、小さく手を振りながら、部屋を出て行った。
中庭に見える大きな木が夕方の短いシャワーを浴びている。